中学生の頃、私の彼女は「すみえ」なんだって誰もが思ってたんだよね。
私も彼女も特に否定しなかったけど、時々みんなで会って話す程度だったんだよ。
3年生になって、東京からひとりの女の子が転校してきたんだ。
「玲子」って名前で、可愛いってことはないんだけど東京から来たってことで男たちの憧れの存在になったんだ。
もちろん私もちょっとは気にかけていた。
でも何の進展もなく私は男子校、彼女は女子高に進学。
私も彼女も歩いて通学できる距離だったし、彼女が毎朝決まった時間に私の家の前を通るんだ。
2階の窓から彼女が通るのを待って毎朝10Mくらい後ろから歩くのが楽しみだったんだな。
今思えばストーカーっぽいよね。
ある朝、表に出ると目の前でスニーカーの紐を直してる彼女がいて、ドキッっとしたけど「あ、おはよ」って言うと、彼女が私を見るなり急に走って行ってしまった。
毎朝のお楽しみも2ヶ月くらいで終了。
噂では彼女は3年生の彼ができたらしくて、そしてそれが評判のよくない奴らの仲間で、ちょっとがっかりしたな。
夏になると終業式前から自発的に夏休みを取り、仲間4人で海のキャンプ場でバイトを始めたんだ。
もちろん目的は4人とも童貞を捨てることだった。
そして初日の夜にあっさりと目的を達成してしまうんだ。仕事は駐車場の管理とすべての雑用係。
くそ暑い中で車の誘導しながら「このバイトは失敗だ、やめよう」なんて話してると東京から来たOL4人組に声かけられたんだ。
「君たちは高校生でしょ。仕事終わったら遊ぼうよ。」なんてね。
もちろん行きました。
狭いバンガローで酒飲まされて、夜の砂浜を散歩する時には自然とペアができていて、そして岩陰でやったというよりやられちゃったみたいな感じで・・
彼女たちをバンガローに戻した後、男4人事務所から毛布を持ってきて事務所の前で星を見ながら語りあったなぁ。
そのまま朝を迎えてキツイ仕事が始まっても4人ともニコニコしながら「がんばろう!」なんてね。
裸で駐車場の看板を直してるときに彼女たちが車で通りかかった。
「今から帰るよ。楽しかったね。来年も来るからね。バイバイ!」
そしてその夜も次の夜も楽しい思いをすることになるんだ。
さすがに3日間事務所の前で毛布に包まって1,2時間の睡眠じゃ持たないよね。
今日は帰ろうって決めてたんだよ。
キャンプ場の前のバス停に向かって歩いてると女の子の3人組とすれ違って、そこに玲子がいたんだ。
私と目が会うとびっくりした顔で立ち止まったので
「ちょっとだけ散歩しませんか。話したい。」って声かけてみた。
「いいよ。」って言ってくれた。
彼女は友達を帰し、私の悪友たちも帰った後ふたりきりになったんだ。
まだ夏休み前の海は夜になるとすっかり寂しくなる。
海の家が立ち並ぶ場所から少し離れた砂浜に座って缶ビール呑みながらいろいろ話したよ。
満天の星とすっかり波のなくなった海。
ふたりの他には誰もいないプライベートビーチだね。
星明りだけでもはっきりと彼女が見えるんだ。
「僕のこと覚えてた?」
「うん。」
「どうしてあの時逃げたの?」
「びっくりしたから・・・」
「彼ができたんだってね。」
「うん。」
たわいもない話をしながら、気持ちがだんだんに昂ぶってきた。
「夜の海ってとっても暖かいんだよね。泳がないか?」
「え、水着着てないよ。」
「裸でいいじゃん。誰も見てないよ。」
私はTシャツとジーンズを脱いで、そして素っ裸になって海に飛び込んだんだ。
「気持ちいいぞ〜。誰も見てないから脱いじゃえ〜。」
彼女はしばらく悩んでたけど脱ぎ始めた。
裸になると走って海に入ってきた。
私に飛びついて
「恥ずかしいけど、気持ちいいよ。」って・・・
抱きしめてキスしたら
「私の初キッスだよ。」って言うんだ。
「えっ、彼とは?」
「まだなにもないよ。」
随分長い間抱き合っていたと思う。
お互いの身体は確かめあったけど最後の一線は越えなかった。
タクシーで彼女を送る途中で聞いたんだ。
「また会える?」
「わからない。会いたいけど会わないほうがいいよね。」
キャンプ場はお盆の頃になると終わってしまうんだよね。
いったい何人の女性を抱いたんだろう?
最高の夏が終わった。
玲子とは会うこともなく、10月になった頃、彼女の彼の仲間から呼び出されてボコボコにやられた。
私は誰にも話してないから、彼女が彼に話したのか、彼女が友達に話してそれが伝わったのかわからないけど・・・
その後も高校3年間の夏はすべてキャンプ場で過ごす事になるんだ。
玲子とは時々顔を合わせるんだけど、話すことはなかったな。
卒業後、東京で出会い抱くことになるとはね。
その話はまたそのうちに・・
2009年01月28日
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