仲間内では有名で美人だけど誰も手を出せないほど恐れられていた「京子」って先輩に何故か目をかけられてしまうんだ。
カミソリを使うとかバックには誰それがいるとか噂だった。
ある日、2時間目が終わった休み時間に1年生が教室に飛び込んできて「京子さんが呼んでます!」って・・・
あちこちで顔を合わせたことはあったけど話したことないし、びっくりしたよね。
外に出ると「着いてきて」って言われて、そのまま彼女の家に・・・
部屋に入るとビールを飲まされて、それからカーテンを閉めて薄暗い部屋でレコードを聞かされた。
それが森田童子との初めての出会いだった。
「いいでしょこれ・・・」
その日から何度か彼女の部屋でふたりきりで森田童子を聞くことになったけど、手に触れることもなく不思議な時間を過ごした。
森田童子と京子とが忘れられない存在になった。
「さよなら僕のともだち」森田童子
私の前ではとても素直で知的な女性だったんだ。
京子と過ごす時間が楽しみな反面、いつ誰かに呼び出されてどうにかされるんだろうかなんて不安を抱えながらの毎日だったな。
どうして誰もが彼女のことを恐れているのかわからないまま、何事もなく彼女は卒業して美容の勉強のために上京した。
私は森田童子のコンサートがあると聞けばあちこちにいくようになった。
そう、あのテント劇場を観るために・・・
私は卒業すると某大手電機メーカーに就職して男ばっかり50人くらいの寮に入った。
1年間音沙汰なかった彼女からある日曜日に突然寮の電話に呼び出しがあったんだ。
「キヨシ遊ぼうよ!」
うれしかったなぁ。
映画観たあと酒呑んでね。
「寮ってどんな感じ? 泊まってもいい?」
「それはまずいでしょ」
なんていいながら結局連れて帰ってしまった。
髪をかきあげ帽子を被り、部屋にたどり着いたら同室の同僚に
「こういう訳だから一晩空けてくれ」
快く他の部屋に行ってくれたよ。
女子禁制の寮で初めて彼女を抱いた。
そして驚いたことに彼女は処女だった。
悪名高い「スケバン京子」はすべて噂だけだったんだ。
次の朝はばれないように出勤時間を少しずらして出たんだけど、会社に着くなり大目玉だ。
寮に女を連れ込んだ新人として一躍有名になってしまったよ。
その後何度か会ったけど、彼女は美容師になるため帰郷。
今でも年賀状が届くけど、美容院を経営してとても幸せらしい。
1度も返事書いたことないけど・・・




